再エネ賦課金、2025年から値上げ。電気代が高くなる仕組みを解説

経済

また電気代、ちょっと上がるらしいです。
今度は「再エネ賦課金(さいえねふかきん)」ってやつ。

…え、なにそれ?ってなるよね。
たぶん請求書に書いてあるんだけど、あれ、ちゃんと見たことある人ほとんどいないと思う。

でもこの“意味不明なやつ”、実はめちゃくちゃ大事なんです。

経済産業省は2025年度の再エネ賦課金を1kWhあたり3.98円にするって決めました。朝日新聞(2025/3/21)
前の年は3.49円だったから、約0.5円のアップ。ピンとこない?

ざっくり言うと、ふつうの家庭(400kWh/月)だと、毎月200円ちょい、1年で約2,400円の負担増。主要メディアも「じわじわ痛手」って報じてるけど、たぶん多くの人がこう思ってるはず。

「あー、またなんか上がったんだな。しょうがないか」

でもそれ、ほんともったいない。
仕組みをちょっと知っておくだけで、ただ払うだけから抜け出して、自分の意見を持てるようになる。

「再エネ賦課金」ってそもそも何?明細で見かけるけど、意味はよくわからないやつ

電気代の明細に、なんかちょこっと書いてある「再エネ賦課金」って文字。
見たことあるけど、内容はスルーしてる人、多いと思う。

これ、めちゃくちゃ雑に説明すると:

「再生可能エネルギー(太陽光とか風力とか)をもっと使おう!」って国が決めたから、
電力会社が、ちょっと高めの値段でそういう電気を買ってる。
その差額分を、私たちが電気代でちょっとずつ“割り勘してる”って仕組み。

つまり、使った電気の分だけ、自動的に追加される“よくわからん固定費”です。
税金じゃないけど、ほぼ“義務”みたいなもん。

🧠 なんでそんな制度があるの?

背景はシンプル。

「地球温暖化がやばい」
「脱炭素しなきゃ」
「火力やめて再エネに移行しよう」

…ってことで、国が本気で再エネ普及に取り組み始めた。

再エネってソーラーパネルとか風車とかで発電できるから、個人が屋根につけたり、自治体がつくったりして電力会社に売れるんだよね(火力発電じゃそうはいかないから、電力会社が自分たちでつくってる)。

でも再エネって、まだ高いんよ。
つくる側にとっても、買う側にとっても、火力発電より割高。

で、もし再エネの電気を“市場価格”でしか売れないとしたら、
発電する側(ソーラーパネルつけた個人や企業)は「コストに見合わない」ってなって、誰もやりたがらない。

それじゃ再エネ広がらないじゃんってことで、登場したのが「FIT制度(固定価格買取制度)」

これは、再エネ発電事業者がつくった電気を、電力会社は“あらかじめ決められた高い価格”で必ず買い取ってくださいねっていう制度のこと。

電気をつくる側(屋根にソーラーパネル乗せた個人や、風車持ってる企業)からすると、
「売れるって保証されてるし、価格も決まってるから、安心して設備にお金かけられる!」って感じ。

でも当然、市場価格より高く買えば、電力会社には“損”が出ます。

その“損”を補うために生まれたのが、私たちが電気代として払っている再エネ賦課金です。

「再エネを高く買ってもらう代わりに、その差額は電気を使うみんなで負担しよう」

そうして電力会社が“高く買った”電気の分、私たちが「再エネ賦課金」という形で負担してるんです。

要するに:

再エネは環境にはいい。でもコストはかかる。
だからそのぶん、みんなで割り勘しようぜという制度。

それが、再エネ賦課金です。

この仕組みを知らずに「また電気代上がったな〜」で終わっちゃうと、
実は“どこにお金流れてるか分かってない”まま損してる可能性もある。

「再エネって大事だよね」で終わらせずに、
じゃあ自分はいくら払ってるの?その仕組みどうなってるの?って知ることが、じつは最初の一歩なんです。

はじまりは2012年

ちなみにこの再エネ賦課金、制度が始まったのは2012年
最初はそんなに高くなかったんだけど、毎年のように金額はじわじわアップ。

今回過去最高の3.98円になるんだけど、2012年は何と0.22円!もともとは「少額だから負担も少ない」っていう説明だったのに、今や標準家庭で年間2万円近く払ってるレベルに成長。国民全体で年間およそ3兆円を負担してる巨大システムになってます。

請求書を見ても、その内訳を知らなければただの「電気代」で終わってしまう。
でもここまで読んだあなたは、「なんか高いな」じゃなくて、「どの項目が上がってるのか?」まで見えるようになってきてるはず。

そもそも電気代ってどうやって決まってるの?

でもその前に電気代の仕組みを知ってる人ってだいぶ少ないと思う。
「電気代って、使った分だけ払ってるんじゃないの?」
たぶんそう思ってる人、めっちゃ多いんじゃない?けど実は、そうじゃない。

ざっくり言うと、電気代は3つの“箱”の合計でできてます:

項目内容
基本料金契約してるアンペア数に応じた毎月かかる固定費。使ってなくても払うやつ。
電力量料金実際に使った分(kWh)に応じて払う、いわゆる「使ったぶん」
調整・上乗せ項目「燃料費調整額」「再エネ賦課金」っていう、月ごとに変動する“謎の追加費用”がここに入ってくる。

このうち、一番わかりにくくて、でも最近めちゃくちゃ家計に影響を与えているのが「調整・上乗せ」のところです。

  • 燃料費調整額:原油とか天然ガスの価格が変わると、それが電気代に乗ってきます。値段が上がれば電気代も上がるし、下がればちょっと安くなる。
    → これ、火力発電が多い日本だとめっちゃ影響大きい。
  • 再エネ賦課金:今回の主役。太陽光や風力の電気を、電力会社が高く買ったぶんを私たちみんなで割り勘してるイメージ。

「電気代がなんか高くなった」と感じるときって、多くの場合この“調整・上乗せ”ゾーンに何かが起きてるんです。

なんで再エネ賦課金って上がってんの? “差額”のカラクリを見てみよう

さっきもちらっと出てきたけど、再エネ賦課金って、「太陽光や風力の電気ってコスト高いから、その分をみんなでちょっとずつ払ってね」っていう“割り勘制度”なんです。

その背景にあるのが、FIT制度(固定価格買取制度)

国「太陽光の電気、ちょっと高いけどこの価格で買い取ってね」
電力会社「え、火力発電の電気の方が安いんですけど…」
国「大丈夫。その分は電気代に上乗せして、全国のみんなで払ってもらうから」

……こんな構図になってる。

で、この“差額”って、燃料の価格が下がると広がるんです。

なぜかというと、日本の電気って今でも火力発電メイン
つまり市場価格はその火力のコスト、原油や天然ガスの価格に左右されます。

つまりこういうこと:

  • 火力の燃料が高騰してるとき → 市場価格が上がる → 差額は小さい → 賦課金は抑えめ
  • 燃料価格が落ち着いてくると → 市場価格が下がる → 差額が大きくなる → 賦課金が上がる

で今はまさに下の状態。
2024年以降は原油とかガスの価格が落ち着いてきてるんだけど、その分逆に再エネ賦課金は上がってるというわけです。

結果、2025年度の賦課金は3.98円/kWhに。地味に見えるけど、毎月の電気代にしっかり効いてきます。

でも、「燃料費下がってるなら、電気代も安くなってトントンじゃないの?」って思うよね。

その感覚、たしかに半分は正解

実際、燃料費が下がれば「燃料費調整額」って項目がマイナスになって、電気代をちょっとだけ下げてくれる効果があります(実際に再エネ賦課金が下がっていた時期もあった)。

でも、現実はそうカンタンじゃない。

  • 賦課金の上がり方のほうが大きい
  • 地味に基本料金とか電力量料金も上がってたりする
  • なにより、再エネ賦課金って“年単位の固定”だから、一度上がると「翌年までずっとそのまま」ってのが地味にキツい

だから、「燃料価格は下がってるのに、電気代は下がらない」っていう状況が生まれるんです。

実際いくら増える?家庭ごとの“月○円アップ”を試算

では、今回の引き上げでどれくらい電気代が増えるのか

標準家庭(400kWh/月)で月+196円とはいえ、家庭の電気使用量は人それぞれ。
以下に、ざっくりしたケース別の試算をまとめました:

月間使用量賦課金(2024年度)3.49円/kWh賦課金(2025年度)3.98円/kWh差額(月額アップ)
200kWh(一人暮らし)698円796円+98円
400kWh(標準家庭)1,396円1,592円+196円
500kWh(4人家族)1,745円1,990円+245円

「たった200円?」と思うかもしれませんが、これが固定費として毎月確実にかかるのがポイント。

1年間で考えると、一人暮らしでも1,000円以上、4人家族なら3,000円近い”負担増”になります。

しかも、賦課金って「いつの間にか上がってる」って気づかれにくいからタチが悪い。

請求書見ても、「電気代が高くなった気がするけど、原因がわからん」ってとき、だいたいこの辺が犯人です。

「じゃあどうする?」“払わない”はムリでも、“見直す余地”はある。

再エネ賦課金、制度的に避けることはできません。けど、電気代って「全部が言いなり」ってわけじゃない。ちゃんと見直せば、意外と変えられるポイントがあるんです。

✅ その1:「なんか高い」の正体、請求書をみればわかるかも

毎月届く請求書。ちゃんと見たことある?
「使用量(kWh)」ってとこだけでも確認して、比較サイトに入れてみると、思った以上に“今のプラン高いじゃん”って気づくこと、結構ある。

✅ その2:「アンペア」ってなに?って人ほど見直す余地あり

契約容量(〇〇アンペア)ってやつ。
一人暮らしなのに30Aとかになってたら、それ必要以上に高く払ってるかも。
20Aに変えるだけで、年3,000円くらい下がることもある。

✅ その3:エアコン止めても電気代が高いなら、“つけっぱ”家電を疑え

冷蔵庫、Wi-Fi、テレビ……コンセント抜かずにずっとオン。
それだけで月100円単位で“固定でかかる”電気が発生してる。
節電タップやコンセントタイマーにするだけで、意外と効果あり。

月200円の賦課金アップ。
「まぁいいか」って思えばそれまでだけど、“そういうのが積み重なる”のが固定費の怖さ。

今回の値上げが適用されるのは2025年4月の使用分から。
まずは1回請求書、見てみよう。

「ジブンゴト+」でもっと深く

「環境のため」と言われるとつい納得してしまうけど…
電気を使えばだれでも強制的に払わされる。

これってほぼ税金じゃないの?
じゃあ今回は実質”増税”みたいなもんじゃん!

「ジブンゴト+」では、“税金じゃないのに払わされてるお金”についてもう少し掘り下げてみました。

再エネ賦課金は“見えない税金”?──名前を変えた隠れ増税の話|ジブンゴト+|須賀ゆめと
この記事ではJIBUNGOTOで公開している「再エネ賦課金、2025円から値上げ。電気代が高くなる仕組みを解説」を掘り下げていきます。 再エネ賦課金、2025年から値上げ。電気代が高くなる仕組みを解説再エネ賦課金、2025年から値上げ。電気...

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