「どうやら選挙があるみたいだけど、どの政党に入れればいいか分からない…」
そんなふうに思っている人、意外と多いと思います。
正直、各政党の政策を一から全部読むのはしんどいし、それで心が折れて選挙から足が遠のいたり、とりあえず「自民党でいいか」ってなったりしがち。
でもやっぱりそれはもったいない。
貴重な一票を大切に使うためにも、今回の参議院選挙に出ている政党を、
- どんなスタンスで
- どこに力を入れていて
- 減税や現金給付をどう考えているのか
などを中心に整理してみました。
まずは「ふわっと全体を把握する」感覚で読んでもらって、政党選びの参考になればうれしいです。
自由民主党(自民党)
どんな政党?
日本の政治を長年リードしてきた与党で、ほぼ一貫して政権を担ってきました。保守的なスタンスで、「安定」「現実路線」を重視するのが特徴。大きな変革よりも、着実に進めるイメージです。
主な公約
【経済・財政】全国民に2万円給付、2040年に平均所得5割以上増へ
【家族・子育て】高等教育費の負担軽減
【政治とカネ・政治改革】政治資金の透明化
注目ポイント
自民党は「減税」には慎重な一方で、定額減税や給付を通じた現実的な家計支援を重視しています。ただ、これも目先のお金を約束して人気を得るための“バラマキ”なのではないかとも見る向きもあるので、そこをどう判断するかが重要です。
また、長く政権を担ってきた党でもあり、「現在の社会のままがいい」「変化はそこまでしてほしくない」という人に合いやすい政党でもあります。
公明党
どんな政党?
自民党と連立を組んで長年政権を支えてきた与党。支持母体は創価学会で、生活者目線の政策に力を入れるのが特徴。「中道」を掲げ、対立を避ける調整役としても動きます。
主な公約
【経済・財政】「生活応援給付」として国民1人2万円を給付
【社会保障】年金の給付水準を底上げ、低所得者や子育て世帯に向けた「住宅手当」の創設を目指す
【家族・子育て】妊娠・出産の基礎的な費用を無償化
注目ポイント
公明党は現金給付や教育費支援など、家計に優しい政策に力を入れていることが特徴です。特に子育てや教育分野では奨学金や授業料の軽減策を積極的に提案。
支持母体が創価学会であり、そこに抵抗がある人は支持しにくいかもしれませんが、現状はそこまで宗教色を強く押し出しているわけではなく、自民党と組んで長年政権を支えてきた実績もあるので、そういう意味では安心感のある政党かもしれません。
立憲民主党
どんな政党?
自民党に対抗する、野党の中心的な存在で、現在野党の中で最も多くの議席を持っています。2009年には自民党から政権を奪い取った実績もあります。「暮らしを守る」「多様性を大事にする」という姿勢が強く、子育てや教育支援、ジェンダー平等など“生活に近いテーマ”を重視しています。
主な公約
【経済・財政】食料品に限り原則1年間消費税0に。「食卓おうえん給付金」として1人2万円を給付
【社会保障】社会保険料の支払いが発生する130万円の壁で手取りが減らないように給付
【農政】「食農支払」と題した農家への直接支払制度の創設、就農支援金を10倍に
【家族・子育て】18歳までのすべての子どもを対象に1人あたり月15000円の児童手当
注目ポイント
立憲は「物価対策をしっかりやる」というスタンスが強く、減税や給付をセットで提案しています。さらに、教育や子育ての負担を減らし、ジェンダーや同性婚など社会の多様性を広げる政策にも積極的です。
野党の第一党ということもあり、「今の政治にブレーキをかけたい」「もっと暮らしを楽にしてほしい」という人に向いているかもしれません。
ただ2009年からの政権を握っていた時代の政治には批判も多く、そういった面を不安視する声もあります。
日本維新の会
どんな政党?
「改革」を掲げる野党で、大阪を拠点に勢力を広げてきた政党。無駄を減らし、スリムな行政を目指すスタイルで、経済や教育の自由度を高める政策に積極的です。自民党と対立する場面も多いけれど、改革案では近い部分もあります。
主な公約
【経済・財政】食料品にかかる消費税を2年間0に。現役世代を対象に減税
【社会保障】国民医療費を削減し、現役世代1人あたりの社会保険料を年間6万円以上引き下げ
【家族・子育て】所得制限なしで未就学児の教育・保育料の完全無償化をめざす
注目ポイント
維新は「減税や無駄削減」で財源を作り、教育の無償化を本気で進めたいという立場。大胆な改革を掲げる一方で、国会でも憲法改正や防衛力強化を推進する姿勢が特徴です。
大阪で政治を握り、実績を残している点も注目。「古い政治の仕組みを変えてほしい」「効率化やスピード感を求めたい」という人に合いやすい政党です。
日本共産党
どんな政党?
名前の通り、資本主義よりも「平等」や「福祉」を大切にする立場で、長年「自民党に対抗する野党」として活動してきた政党。大企業や富裕層に負担を求め、庶民の暮らしを守る政策を強く打ち出しています。
主な公約
【経済・財政】消費税は5%に減税し、廃止をめざす。大企業の法人税率の引き上げや富裕層への課税強化で財源を確保
【農政】コメを増産に転換。最低でも農家に60キロあたり2万円以上の手取りを保証
【家族・子育て】教材費や制服代、修学旅行費なども含めて義務教育の完全無償化を進める
【政治とカネ・政治改革】企業・団体についてパーティー券購入も含めて献金を全面禁止。政党助成金制度は廃止
注目ポイント
共産党は「とにかく生活を守る」スタンスで、減税や賃上げなど庶民に直接メリットのある政策を前面に出しています。さらに、原発をなくし、平和を重視する外交を掲げるなど、環境や安全保障にも独自の姿勢を持っています。
「お金の負担を減らしてほしい」「軍事より福祉を優先してほしい」という人に向いている政党ではあります。
公約をみると一般の人にとっては特に魅力的に映る政党かもしれませんが、世界的に見ても共産主義で本当にうまくいっているかどうかは考慮した方がいいかもしれません。
国民民主党
どんな政党?
野党の中でも“中道寄り”で、現実的な政策を重視する政党。自民党と対立する部分もある一方で、協力することもあり、「対決より解決」という姿勢を掲げています。景気や雇用の安定を重視するのが特徴です。
主な公約
【経済・財政】所得税・住民税の非課税枠「年収の壁」を178万円に引き上げ。消費税はしばらく5%に
【社会保障】後期高齢者の医療費の窓口負担の原則2割に
【家族・子育て】児童手当を第2子まで月15000円まで拡充、所得制限の撤廃
注目ポイント
国民民主党は「現実的な暮らしの支援」を打ち出しており、減税で生活の負担を減らす政策が目立ちます。教育や子育ての支援を強化する一方、エネルギー政策や安全保障では現実路線をとり、野党の中では比較的“保守寄り”です。
近年急激に支持を伸ばしており、今回の参院選の直前に批判を集める行動もあったものの、次に政権を自民党から奪うとしたらここかもしれません。
「とにかく実生活を楽にしたい」「理想論より現実的な解決策がいい」「今の自民党には任せられない」という人に向いているかもしれません。
れいわ新選組
どんな政党?
2019年に山本太郎さんが立ち上げた比較的新しい政党。生活困窮者や障がい者など社会的に弱い立場にある人への支援を掲げ、“社会保障の充実”を強く打ち出しています。大企業や富裕層への課税を増やして財源を確保する立場です。2019年には「新語・流行語大賞」の候補30語にもノミネートされるなど、SNSを中心に支持を広げている政党です。
主な公約
【経済・財政】消費税廃止、現金10万円を一律給付
【社会保障】後期高齢者医療制度を廃止、全額国庫負担
【農政】食料自給率を50%にし、余った農産物は国が買い上げ国内外の食料支援に
【家族・子育て】高校卒業まで子ども手当を月3万円、保育料、給食費、18歳までの子ども医療費などを無償化
注目ポイント
「とにかく格差をなくす」ことに全力で、消費税廃止や賃上げなど、家計を直接楽にする政策を前面に押し出しています。その分、財源を大企業や富裕層に求める“再分配型”のスタンスが強い政党です。
「今の社会の不平等を変えたい」「生活の安心を最優先してほしい」という人に向いています。
SNSを中心に話題になることも多く、掲げている公約も非常に耳ざわりのいいものになっていますが、その実現可能性などについては検討する余地があるかもしれません。
参政党
どんな政党?
2020年に結成された新しい政党で、ネットを中心に支持層を拡大しています。保守的な考え方が強く、教育や食の安全、日本の伝統を重視するのが特徴です。
主な公約
【経済・財政】消費税の段階的な廃止を推進
【外交・安保】言い過ぎた外国人受け入れに反対
【家族・子育て】0~15歳の子ども1人につき月10万円の教育給付金を支給
注目ポイント
参政党は、食や教育など“生活の基盤”に焦点を当てつつ、「日本らしさ」を守ることを強く打ち出しています。現在ネットを中心に支持層を大きく拡大している政党ではありますが、差別的ともとれる発言があるなど、賛否の分かれる政党でもあります。
「今の社会の方向性にどうしても不安を感じる」「日本のことは日本人で決めたい」という人には合いやすい政党かもしれません。
社民党
どんな政党?
社会民主主義を掲げる政党で、「平和」「人権」「福祉」を大切にする立場から護憲(憲法を守る)や反原発を掲げています。現在、社民党の国会議員数は1名のみで、今回の選挙で得票率が2%を下回ると政党要件を失い、「政治団体」として扱われることになります。
主な公約
【経済】食料品の消費税率を0に、全国一律で最低賃金を1500円に
【社会保障】社会保険料の労働者負担を半額に
【家族・子育て】選択的夫婦別姓や同性婚制度を推進
注目ポイント
社民党は「とにかく平和と人権を守る」ことを軸に、生活者の負担軽減や原発ゼロを訴えています。ジェンダー平等やLGBTQの権利保護にも積極的で、「弱い立場の人を守る」姿勢が強い政党です。「軍事よりも福祉」「原発は不安だからなくしてほしい」という人に合いやすい政党です。
その他の政党
NHK党
「NHKをぶっ壊す」で有名になった政党。現在はネットや動画配信を使って、NHK受信料制度の廃止を中心に活動。政策はシンプルで「受信料を払わない自由」を訴えています。
日本保守党
X(旧Twitter)で話題になった新党で、保守系インフルエンサーを中心に結成。「日本の伝統・文化を守る」ことを掲げ、反グローバル化や家族観の重視など、保守色が強いのが特徴。
無所属連合
複数の無所属議員や候補者が集まって作った連合体。「政党に縛られず自由に政治をやる」ことを打ち出していますが、政策は候補者ごとにバラつきがあります。
チームみらい
「子どもの未来を守る」をキーワードに活動する新党。教育や子育て政策を重視し、ネットを中心に若い層へアピールしています。
日本誠真会
伝統や道徳を重んじる姿勢が強い小規模政党。家族観や日本文化の維持を訴えていますが、詳しい政策は限定的です。
再生の道
「日本再生」をテーマに、地方創生や農業支援を掲げる新党。小規模ながら、地域密着型の政策を重視しています。
日本改革党
政治や行政のムダを徹底的に削減し、スリムな政府を目指すと主張する新党。維新と近い「改革」イメージを前面に打ち出しています。
政党比較表
政党 | お金のこと | 暮らしのこと | 一言でいえば… |
自民党 | 給付メイン | 子育て支援を強化 | 安定と現実路線 |
公明党 | 給付 | 教育・奨学金の負担軽減 | 生活者目線のきめ細かさ |
立憲民主党 | 減税+給付 | 教育・ジェンダー平等に前向き | 今の政治にブレーキ |
維新 | 減税 | 教育無償化を推進 | 改革とスピード感 |
共産党 | 消費税5%へ減税 | 原発ゼロ、ジェンダー平等 | 福祉重視&反戦 |
国民民主党 | 減税 | 教育負担軽減 | 現実的な解決志向 |
れいわ | 消費税ゼロへ | 社会保障を大幅拡充 | 格差是正&弱者にやさしい |
参政党 | 言及少なめ | 食の安全と教育改革 | 日本らしさ重視 |
社民党 | 減税 | 平和・ジェンダー優先 | 人権&護憲の立場 |
結局、どこに投票したらいい?
ここまで読んでも正直本当にどこに投票していいか分からない人も多いと思います。
ただ、大切なのは、自分なりに考えて、比較的にでも自分の考えと近いところに票を入れて意思表示をすること。
どうしても決め切れなかったら白票といって投票用紙に何も書かずに投票する方法だってあります。
それでも投票率は上がるので、「政治に関心はある」という姿勢は伝えることができます。
現在は特に若い人の投票率が低いことが大きな問題となっています。単純な人口で比較しても年配の方よりも若者の方が少ない中で、このような状況ではなかなか若い人に向けた政策をアピールしてもらえません。
もちろんしっかりと調べて比較した上で票を投じるのがベストではありますが、ぶっちゃけ1票で選挙結果は変わりません(よくも悪くも)。
だからといって適当に投票するのは違いますが、何か一つでも自分の中で投票する理由付けができていれば大丈夫。
とにかくまずは気楽に投票所に向かいましょう!
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