7月20日に参議院選挙が行われ、与党が大きく議席を減らすという結果になりました。
国民民主党や参政党が議席を伸ばすなど、テレビや新聞、SNSでも大きな話題を集めました。
今後どうなるかとかはよく分からないけど、とりあえず自民党が負けたくらいは耳にしている人も多いと思います。
選挙に行った人、行かなかった人いると思いますが、日本の政治にとってとても大きな結果となったことは間違いありません。
でも実際これからどうなっていくのかは難しいところ。
この記事では、今回の参院選の結果を整理して、今後私たちの生活はどうなっていくのかを分かりやすくまとめていきます
まずは結果をざっくり振り返る
今回の選挙の結果、このような議席の配分となりました。
NHK,参議院選挙2025特設サイト,2025-7-25更新,(参議院選挙速報 開票結果 -参院選2025- NHK)
参議院議員は任期が6年で、248人いるけど、3年ごとに半分の124人が選挙で選ばれて交代していく仕組み。
だから「非改選」のところは今回の選挙の対象ではない人たちで、「今回」って書かれているところが、今回の選挙の結果になるんです。
こんな感じで数字だけ見てもどこが大事なのか分かりにくいと思うので、今回の選挙の結果で重要な点を2つに絞って振り返っていきます。
与党が参議院で“少数派”に転落
与党っていうのは現在政権を運営している自民党と公明党のこと。
「今回」の数字を比較すると与党と野党で47対78と野党の圧勝(というか与党の大敗)になりました。
その結果「非改選」も合わせたこれからの参議院の合計の議席数を比較しても、与党は122議席と半分より少なくなってしまいました。
選挙前は141も議席があったことを考えれば、大きく議席を減らしてしまいました。
さらにただ議席が減っただけじゃなくて、「参議院の半分より少なくなった」ということに大きな意味があります。
国会は新しい法律とかを考える場所で、基本的には“多数決”でなんでも決まります。
だから半分以上の議席を持っていればその党の意見が基本的に通ることになりますが、今回の結果で与党はそれができなくなってしまいました。
今後は法案を通すにもどこかしらの野党の協力が必須になってくるんです。
野党が勢力を回復、でも“分散”
与党が“少数派”になったことの裏返しになりますが、その分野党が議席を伸ばしました。
ただ、今回の結果の特徴は野党の中でも議席がばらけたこと。
これまでは立憲民主党が野党の中では多くの議席を持っていましたが、今回獲得したのはこれまでと変わらない22議席で、議席を増やすことはできませんでした。
代わりに大きく議席を伸ばしたのが国民民主党と参政党。
国民民主党は今回4議席から17議席に、参政党は1議席から14議席にまでなりました。
これまでは自民党対立憲民主党というような構図でしたが、これからは国民民主党や参政党といった新しい政党も無視できない存在になっていきそうです。
この結果で何が変わる?
野党がより力を持ち、法案がスムーズに通らない国会になる
実は2024年10月に、参議院ではない、もう一つの衆議院の選挙が行われていました。
それまで与党は衆議院と参議院の両方で半分以上の議席を持っていたので、与党の考えが通りやすく、スピード感を持って政策を進められていました。
ところが、その時の選挙でも与党は敗北し、政権はなんとか維持しましたが、議席数は半分を下回ってしまいました。
その時も石破政権、自民党の敗北として大きな話題となりました。
そしてその流れを受けて行われた今回の参議院選挙でしたが、こちらも敗北。
衆議院も参議院も過半数の議席を持っていない、どちらもいわゆる“少数与党”の状態となってしまいました。
日本の国会はこれまで自民党がほとんどの期間で主導権を握っており、このように”政権を握っているけど議席は半分もない”という状態は決してよくあることではありませんでした。
政権が交代したときや、まさにこれから交代するというようなときに起きやすく、国民の支持が変わってきていることを意味します。
そして、こうなると与党だけで法案を通すことはいよいよできません。
何を決めるにもどこかしらの野党を味方につけて、多数派にする必要があります。
現在、物価高や国際情勢など多くの課題がありますが、全部なかなか「簡単には決まらない」時代に入ってしまうかもしれません。
その分、生活に直結する政策も遅れてしまう可能性が高いと言えます。
とはいえ野党もどこか一つが多くの絶大な支持を受けて多くの議席を獲得したわけではなく、立憲民主党や国民民主党、参政党などに議席がばらけた状態。
現状は野党にまとまりがあるという雰囲気でもなく、その点では与党に味方してくれる政党が出てきやすいのかもしれませんが、逆に政治がどんどん混乱していってしまう可能性も考えられます。
給付?減税?物価対策の行方は
今回の選挙の大きな争点となった「給付」か「減税」。
急激に物価が上がる中で、どう国民の生活を守っていくかでこの2つが大きな論争となりました。
自民党は主に2万円の現金給付を掲げていましたが、半分以上の議席を維持することはできませんでした。
となると、これをやるためには野党を味方につける必要がありますが、国民民主党を始め、野党は「減税」を掲げていた政党も多く、実行はなかなか難しいかもしれません。
とはいえ、自民党は2万円給付を大きく掲げていただけに、最大勢力は維持したのに給付はできませんでは支持者の反発も想像できてしまいます。
これ以上支持者が少なくなれば、いよいよ政権交代も現実味を帯びてしまいます。
この点については今後の大きな注目ポイントだと言えそうです。
石破首相はどうなるのか?
去年の衆院選に続き、今回の自民党の敗北を受け、石破首相の立場はとても厳しいものになっています。
自民党内では今回の選挙の結果を重く受け止めている人も多く、「石破首相では国民の支持は獲得できない」という声が出始めています。
実際に自民党の様々な都道府県連で石破総裁の辞任を求めることを決めています。
自民党には国会議員と都道府県連の代表者の過半数の署名が集まれば、党の代表である総裁をクビにできるという“リコール規定”というものがあります。
自民党の70年の歴史の中でこの規定が適用されたことは一度もありませんが、石破首相が初の“リコール”となってしまうかもしれません。
報道でも「石破首相退陣へ」というニュースが流れたり、一方で石破首相自身がこれを否定して「退陣はしない」と明言したりするなど、今後については様々な情報が飛び交っているような状態です。
石破首相には間違いなく逆風が吹いている中、「石破政権続投」か「政権交代」か、まさに正念場の秋に入っていくと言えそうです。
まとめ
今回の参議院選挙は、日本の政治にとって大きな分岐点になりました。
与党が参議院で過半数を失ったことで、国会は「何を決めるにも調整が必要」な時代に入ります。
減税や給付、防衛費や社会保障といった重要な政策も、簡単には前に進まないかもしれません。
一方で、野党も力をつけたとはいえ分散状態で、政治はますます複雑になっています。
さらに、石破首相の進退問題が加わり、この秋は日本政治の大きな山場になる可能性があります。
選挙は終わりましたが、むしろここからが本番。
臨時国会や総裁人事など、私たちの生活に直結する決断がこの先どうなるのか、引き続き注目が必要です。
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